2014年11月17日月曜日

iOS実験専用アプリを活用しよう(4)

iOS実験専用アプリを作って活用する話の続きで、今回が最後です。書き残した話をいくつか追加します。細かい話ですが、意外に重要だったりもします。

 

40個のボタンを持つ実験専用アプリですが、機能をどんどん追加すると使い切ってしまいます。そうなったら、新しい画面を追加して開き、さらに40個のボタンを追加して、などと考える人もいると思います。でも、お勧めしません。機能が増えるほど、コンパイル時間も長くなり、シミュレーターを起動するまで待たされます。軽く使えるのが大事ですから、使い切った場合は、新しい実験専用アプリを用意するというのがお勧めです。

開発経験が豊富な人ほど、こういった実験専用アプリは多く使うと思います。該当する人は、最初から複数の実験専用アプリを用意して、ジャンルごとに使い分ける方法をお勧めします。たとえば、UI部品の実験専用アプリ、グラフィック関係の実験専用アプリ、ファイルの読み書きの実験専用アプリ、日付や文字列などの基本データの実験専用アプリという具合に。どれにも入れられない機能のために、その他の実験専用アプリも追加するとよいでしょう。

ジャンル分けには大きな意味があります。目的の機能が、単に探しやすいだけではありません。過去に作った機能を組み合わせて新機能を作るとか、関連性が強い機能が集まっているだけに、新しい機能を作りやすい環境にもなり得るからです。また、デバッグやテスト用に付加する機能も、共通で使えたりします。

ジャンル分けしたら、各アプリの画面表示にもジャンル分けを明記します。ラベルに入れる文字列で、ジャンルを明確に示しましょう。間違ったジャンルのアプリへ追加しないためにも。

 

複数の実験専用アプリをジャンルごとで作り分けるなら、それぞれの機能に適した細かなアレンジが可能です。文字列を処理する実験が多いなら、ラベルの数を増やすと使い勝手が向上します。今は1行に5個のラベルを入れていますが、あと1行か2行ぐらい増やして、ラベルの数を数倍にすれば、複雑な機能でもラベルを追加する必要がなくなります。

また、文字列を手で入力して実験したい場合もあるでしょう。ラベルとともにテキストフィールドを用意すると、各機能で追加しなくて済みます。テキストフィールドの場合は、入力した値をゲットする関数も必要となります。

このように、ジャンルに適した改良を加えると、より使いやすい実験専用アプリに仕上がります。何が必要かは、機能を作っているうちに明らかになるので、少しずつ改良していくとよいでしょう。

 

実験専用アプリには、40個のボタンがあるわけですが、10個ずつ4行に分かれています。自由に使って構わないのですが、簡単な分類を先に決めておくことをお勧めします。似た機能を並んで配置でき、ばらけて点在するのを避けられるからです。

例えば、文字列や数値などの基本データ用の実験専用アプリを用意したとします。4行のうち、1行目が文字列、2行目が文字列以外のデータ、3行目は文字列と他のデータの両方を使う場合、4行目は未定というように決めます。

分類は、データの種類だけとは限りません。データの扱い方で分類する手もあります。1行目は値の変換、2行目は値の加工、3行目は値のチェック、4行目はその他、というのもアリです。過去の経験から、どのような機能を作ることが多いのか、それらをどんな視点で分類したら整理しやすいのか、などと考えて決めます。

最初に決める分類は、あくまで仮決めです。作っていくうちに、変更しても構わないでしょう。まあ、最終的に点在気味になってしまっても、あまり気にしないことです。少し気持ちが悪いだけで、探せないことはないですから。

 

過去に作った機能を拡張するとか、既存の機能を少し改良したいこともあるでしょう。そんな場合は、前の作成物をそのまま残しておき、拡張版は新しいボタンに追加する作り方がお勧めです。前のままで使いたい場合もあるでしょう。また、拡張してみてダメだったときでも、前の状態に戻す作業は不要です。拡張版や改良版は、前の作成物を残したまま作り始めるのが基本です。

実際の作業では、前に作ったソースコードをそのままコピーして、新しいボタンのところへペーストします。ペースト先はボタン番号が違いますから、注意が必要です。コピーしたコードをそのままペーストした後、古い番号の箇所を新しい番号に書き直します。この作業だけで問題なく動くはずです。

改良を始める前に、必ず行ったほうがよいのが、改良前の状態のままでの動作確認です。コピー&ペーストをミスしている可能性がありますから、最低限の確認をするということです。

動作確認が終わったら、さっそく作り始めましょう。最初の状態での動作確認が終わっているだけに、安心して作り進むことができるはずです。

 

新しい機能の実験を追加して、必ず成功するとは限りません。なかなか成功しないときは、時間が経ってから再開するのが効率的でしょう。しかし、長く時間が経過して開くと、どんな問題が発生していたのか、すぐには思い出せません。

しばらく放置すると決めたら、どんな問題点があったのか、どこまで試したのか、ソースコードのコメントとして説明を残しましょう。短い説明でも残しておくと、状況が短時間で思い出せます。コメントの先頭には、「失敗中」などの未完成だと示す言葉を入れるのを忘れずに。

さらに明確にするために、ボタン名も変えておきます。私の場合は、「x」で始まるのが機能の停止中のルールなので、「xx」で始まるのが失敗中というルールにしています。停止中として「x」を使っているので、さらに別な文字を使わなくて済むようにと「xx」を選びました。こうした命名ルールは、好きな形に決めてください。

ここまで4回に分けて、実験専用アプリを上手に作って使う方法を紹介しました。一番大事なのは考え方で、紹介したアプリは一例に過ぎません。解説した考え方を参考にしながら、どんどんとアレンジして、自分にとって一番使いやすい実験専用アプリを作ってください。実験専用アプリは自分の財産になりますから、バックアップも忘れずにね。

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